ネットショップのカード不正利用。「チャージバック」で売上が消えるときのお金の備え
ネットで商品を売っていると、カードの不正利用に巻き込まれることがあります。そのとき、すでに入ったはずの売上が取り消されることがあります。この記事では、その仕組みと、お金の面でどう備えるかを短くまとめます。
「チャージバック」とは
チャージバックとは、カードの持ち主が「この支払いは身に覚えがない」と申し出て、それが認められたときに、お店の売上が取り消されることです。不正な注文で商品を発送していた場合、商品は戻らないことが多く、「売上」と「商品」を両方失う形になります。
日本クレジット協会の集計(2026年3月公表)では、2025年のカード不正利用の被害額は510.5億円でした。前年より8.0%減ったものの、そのうち475.4億円は、盗まれたカード番号が使われる「番号盗用」による被害です。
石垣島や沖縄から、特産品やお土産をネットで全国に届けるお店にとっても、他人事ではありません。島の外から注文が来るほど、この問題は身近になります。
防ぐ・移す・持つ、を組み合わせる
まず「防ぐ」手立てです。業界のガイドライン(クレジットカード・セキュリティガイドライン)では、ネットショップに、カード会社による本人確認の仕組み「EMV 3-Dセキュア」を2025年3月末までに原則として入れることを求めています。ただし、これは損失を起きにくくする「リスクコントロール」の領域です。リスクファイナンス(お金の備え)とは分けて考えます。
次に「移す」(移転)です。決済サービスによっては、チャージバックの損害を補う補償や保険が付いていることがあります。ただ、上限が小さかったり、サービスが終わったりすることもあります。たとえば楽天カードの決済代行サービスに付いていた補償保険は、上限が1か月5万円で、2024年12月末に終了しています。今の契約に何が付いているか、確認しておくことが大切です。
最後に「持つ」(保有)です。補償で埋まらない分は、自社の手元資金で受け止めることになります。3-Dセキュアで本人確認をした取引では、損失の負担がカード会社側に移ることが多いとされますが、取り扱いは契約や認証の状況によって異なります。「全部守られる」と思い込まないことが大事です。
自社で書き出してみる3つの問い
- 過去1年で、取り消された売上や、不審な注文は何件・いくらありましたか。
- いま使っている決済サービスの契約に、チャージバックの補償は付いていますか。上限と条件は何ですか。
- 高額な注文が1件取り消されたとき、その月の資金繰りは回りますか。
まとめ
カードの不正利用は、どれだけ対策しても完全には防げません。本人確認などで「起きにくく」し、補償で「移せる分」を確かめ、残りは手元資金で「持つ」。この3つを組み合わせて、自社に合った備えを考えてみてください。
参考資料
- 一般社団法人日本クレジット協会「クレジットカード不正利用被害の集計結果について」(2026年3月公表、2025年分)
- クレジット取引セキュリティ対策協議会「クレジットカード・セキュリティガイドライン」【6.0版】(2025年3月)・【6.1版】(2026年3月)/経済産業省
- 楽天カード株式会社「チャージバック補償保険(サービス終了)」加盟店向け案内ページ
本記事は一般的な情報提供であり、個別の保険契約・税務判断・資金繰り・投資判断等を助言するものではありません。実際の判断は、自社の状況に応じて、保険会社・保険代理店・保険仲立人・税理士等の専門家にご相談ください。決済サービスの契約内容は、ご利用中の決済代行会社・カード会社にご確認ください。
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