工事の途中で資材が値上がりしたら、その差額はだれが負担するのでしょうか。この記事では、改正建設業法で整ったルールと、「契約で負担を分ける」という備え方を整理します。工事を請ける会社にも、店舗や社屋の工事を頼む会社にも関わる話です。

保険では備えにくい「値上がり」

火事や台風の損害は、保険で備えられます。けれども資材価格の上昇そのものは、一般的な損害保険の対象になりません。

そこで大事になるのが契約です。「値上がりしたら代金を見直す」と前もって決めておけば、負担の一部を相手と分け合えます。これも広い意味でのリスクの移転(自社で負わず、ほかに受け持ってもらうこと)です。分けきれない分は、手元資金で受け止める保有になります。

石垣島など離島では、資材を船で運びます。輸送費や納期の影響も受けやすいため、契約での取り決めがより大切になります。

改正建設業法で整ったルール

改正建設業法は2024年6月14日に公布され、段階的に施行されました。2024年12月13日からは、主に次のルールが始まっています(国土交通省)。

  • 資材の値上がりや品不足が起きる「おそれ」があると認めるとき、請ける側(受注者)は契約を結ぶまでに、根拠となる情報を頼む側(注文者)へ伝えなければならない。
  • 値上がりなどに伴う代金の変更方法が、契約書に書くべき事項になった。
  • 実際に値上がりが起きたとき、受注者は代金の変更協議を申し出ることができ、注文者は誠実に応じるよう努める。

さらに2025年12月12日に改正法が完全施行されました。不当に低い請負代金や、著しく短い工期での契約は、受注者側にも禁止されています。

ただし、協議を申し出られることと、必ず代金が上がることは別です。結果は契約の中身と話し合いしだいです。だからこそ、契約前の通知と記録が効いてきます。

自社で書き出してみましょう

  1. 今の工事契約書に、値上がりしたときの代金の変更方法は書いてありますか。
  2. 値上がりの「おそれ」を伝えたとき、根拠資料とメールなどの記録を残していますか。
  3. 見直しが通らなかったとき、自社で負担できる金額の上限はいくらですか。

まとめ

資材の値上がりは、保険よりも契約で備えるリスクです。契約で分ける分(移転)と、自社で持つ分(保有)をあらかじめ決めておきましょう。持つ分は、手元資金の厚みと合わせて考えるのが基本です。

参考資料

本記事は一般的な情報提供であり、個別の保険契約・税務判断・資金繰り・投資判断等を助言するものではありません。実際の判断は、自社の状況に応じて、保険会社・保険代理店・保険仲立人・税理士等の専門家にご相談ください。契約書の内容については、弁護士や行政書士等にもご相談ください。

一般社団法人リスクファイナンス研究所では、契約で分ける分と手元資金で持つ分を一緒に整理する初回相談を受け付けています。お気軽にお問い合わせください。