屋根の太陽光パネル、台風で飛んだら?会社が備えたい「3つのお金」
電気代対策で、工場や店舗の屋根に太陽光パネルを載せる会社が増えています。ただ、台風が来るとパネルは強い風を受けます。この記事では、もし壊れたり飛んだりしたときに必要になる「3つのお金」と、その備え方を整理します。
パネル事故で必要になる「3つのお金」
1つ目は、自社のパネルや屋根を直す費用です。2つ目は、飛んだパネルが隣の建物や車、通行人に当たったときの賠償(相手への弁償)です。3つ目は、修理が終わるまで発電が止まり、電気代が増えたり売電収入が減ったりする間の負担です。
2つ目は特に重く見ておきたい点です。民法717条では、建物などの「工作物」の設置や管理に欠陥(瑕疵)があって他人に損害を与えると、まず占有者が、占有者が必要な注意をしていた場合は所有者が、賠償責任を負うと定めています。所有者には、注意していたことだけでは免れない重い責任があります。
保険で渡すお金、手元で持つお金
リスクファイナンスの中心は、保険などでリスクを外に渡す「移転」と、自社のお金で受け止める「保有」です。直す費用は火災保険の「風災」補償、賠償は「施設賠償責任保険」(事業の設備が原因の事故の賠償に備える保険)などで移転を検討できます。
ただし、屋根のパネルが建物の一部として補償されるかは、保険会社や契約内容で扱いが違います。古くなったことによる傷み(経年劣化)やさびは、補償の対象外となる契約があります。発電が止まる間の負担は、建物や設備を直す基本の補償だけではカバーされない場合があるため、手元資金で「保有」するか、休業や売電収入に備える特約・保険を検討します。
国の「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」は、FIT・FIP(再生可能エネルギーの電気を国の制度で支える仕組み)の認定を受けた出力10kW以上の太陽光発電設備について、2020年4月から、災害などに備えて火災保険・地震保険などへの加入に努めるよう求めています。第三者への損害に備える保険も、あわせて考えておきたいところです。なお、固定金具の点検や台風前の見回りは、損失そのものを減らす「軽減」で、厳密にはリスクコントロールの領域です。実務では移転・保有・軽減を組み合わせます。
石垣島をはじめ沖縄・離島は、台風の通り道で、潮風による塩害も受けやすい地域です。部品の取り寄せや職人の手配に時間がかかり、修理が長引くこともあります。「止まる期間」を長めに見積もっておくと安心です。
自社で書き出してみましょう
- 屋根のパネルは、今の火災保険で「建物の一部」として補償されますか。証券や約款で確認しましたか。
- パネルが飛んだとき、近くに人・車・隣家はありますか。施設賠償責任保険の対象に入っていますか。
- 発電が1〜3か月止まったら、電気代の増加や売電収入の減少はいくらになりますか。手元資金で受け止められますか。
まとめ
太陽光パネルは電気代を下げる「資産」ですが、台風の日には「リスク」にもなります。直す費用・賠償・止まる間の負担の3つに分けて、どれを保険に渡し、どれを手元で持つかを決めておきましょう。
参考資料
- 資源エネルギー庁「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」(2026年4月改訂版)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/fit_2017/legal/guideline_solar.pdf - 資源エネルギー庁「太陽光発電」ページ内「太陽光発電設備の保険加入の努力義務化について」(2026年11月確認)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/solar/index.html - 一般社団法人太陽光発電協会「事業用太陽光発電所売買において買い手がチェック・確認すべき事項」(2025年10月初版)
https://www.jpea.gr.jp/wp-content/uploads/2510_matching_checklist_ver1.5.pdf - 民法第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)(e-Gov法令検索)
本記事は一般的な情報提供であり、個別の保険契約・税務判断・資金繰り・投資判断等を助言するものではありません。実際の判断は、自社の状況に応じて、保険会社・保険代理店・保険仲立人・税理士等の専門家にご相談ください。
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