売上の入金が遅れた。台風で店を閉めた。そんなときに限って、法人税や消費税の納期限が来ます。

この記事では、税金をすぐに払えないときに使える国の「猶予(ゆうよ)制度」と、その前に考えておきたいお金の備えを整理します。

黙って遅れると、延滞税がふくらむ

税金を納期限までに納めないと、「延滞税」がかかります。遅れた日数に応じてかかる、利息のような税金です。

国税庁によると、延滞税の割合は2025年が年2.4%(納期限の翌日から2か月以内)・年8.7%(2か月超)でした。2026年は年2.8%・年9.1%に上がっています。金利の上昇に合わせて、遅れのコストも重くなっているのです。

「換価の猶予」と「納税の猶予」

国税には、一度に払えない人のための猶予制度があります。認められると、原則1年以内の分割払いができ、猶予期間中の延滞税は免除または軽減されます。

  • 換価(かんか)の猶予:一度に納めると事業を続けにくくなるおそれがあるとき。災害や病気などの特定の理由は必要ありませんが、納期限から6か月以内に申請し、ほかに国税の滞納がないこと、納税への誠実な意思があることなどが条件です。
  • 納税の猶予:災害・盗難、病気やけが、事業の休廃業、事業の大きな損失などの事実があり、そのために一度に納められないとき。

どちらも原則として担保(借金のかたになる財産)が必要です。ただし、猶予を受ける金額が100万円以下、期間が3か月以内、出せる財産がない、のいずれかなら担保は不要です。やむを得ない事情があれば、当初と合わせて最長2年まで延長が認められることもあります。

住民税・固定資産税などの地方税にも同じような仕組みがあり、窓口は市町村などです。

猶予は「備え」ではなく「時間かせぎ」

猶予は、税金そのものを減らす制度ではありません。払う時期を後ろにずらして、資金繰りの時間をつくる仕組みです。リスクファイナンスの中心である「移転(保険などで他に移す)」や「保有(手元資金で自ら持つ)」とは別物で、借入と同じく資金繰りの手立てと考えるのが自然です。

台風の多い石垣島や離島では、休業と納期限が重なることもあります。だからこそ、普段から納税資金を別口座に分けておく(保有)、休業に備える保険を確認しておく(移転)といった準備が先です。猶予は、それでも足りないときの安全網と位置づけましょう。

自社で書き出してみましょう

  1. 次の1年で、法人税・消費税・源泉所得税などの納期限はいつで、それぞれいくらくらいになりそうですか。
  2. 納税資金は、普段使いの口座と分けて確保できていますか。
  3. 納期限に払えないと分かったとき、まず誰に相談し、何日前までに動きますか。

まとめ

税金が払えそうにないときは、放置せず、早めに税務署へ相談・申請することが大切です。換価の猶予は納期限から6か月以内という期限があります。そのうえで、猶予に頼らずに済むよう、納税資金の積み立てと保険の確認を日ごろから進めておきましょう。

参考資料

  • 国税庁 タックスアンサーNo.9206「国税を期限内に納付できないとき」(令和8年4月1日現在法令等)
  • 国税庁「延滞税の割合」
  • 国税庁徴収課「国税の納税の猶予制度FAQ」(令和6年11月)

本記事は一般的な情報提供であり、個別の保険契約・税務判断・資金繰り・投資判断等を助言するものではありません。実際の判断は、自社の状況に応じて、保険会社・保険代理店・保険仲立人・税理士等の専門家にご相談ください。猶予の可否は税務署が個別に判断します。

納税資金の準備や、保険と手元資金のバランスを一緒に整理したい方は、リスクファイナンス研究所の初回相談をご利用ください。