台風が来ると、停電はめずらしくありません。冷凍庫や冷蔵ケースが止まると、魚や肉、アイスなどの商品が売れなくなることがあります。この記事では、その損害を「保険でどこまで守れるか」「残りをどう備えるか」を整理します。

停電は、思ったより長引くことがある

経済産業省の資料によると、2023年8月の台風6号では、沖縄電力の管内で8月2日に最大約22万戸が停電しました。沖縄電力が電気を届けている約63万戸の、3分の1ほどにあたります。その後いったん復旧が進みましたが、台風の再接近で停電が再び増え、8月6日の再接近時のピークから約2日半後にすべて復旧しました。

電気が何日も来なければ、冷凍品も冷蔵品も持ちこたえられないことがあります。石垣島のような離島では、台風のあと船や飛行機が乱れ、商品の補充にも日数がかかりがちです。

保険の基本の補償だけでは、対象外のこともある

店や倉庫の商品を、火災保険などで守っている会社は多いでしょう。ただ、停電で温度が上がって商品が傷んだ損害は、基本の補償だけでは対象にならない契約もあります。

保険会社によっては、これを補う特約(追加で付けるオプションの補償)があります。たとえば、ある損害保険会社の冷凍・冷蔵貨物向けの特約では「電力会社からの電気が6時間以上止まった場合に限る」「事前に知らされた計画停電は除く」「支払いは保険期間を通じて500万円まで」といった条件が付いています。

条件は商品ごとに違います。自社の契約で何が対象になるかは、保険証券と約款(契約のルールを書いた書面)で確かめてください。

保険で移す分と、手元資金で持つ分

リスクファイナンスの中心は、保険などで他に任せる「移転」と、手元資金で自ら持つ「保有」です。特約で移転できるのは、条件に合った損害だけです。条件から外れた停電の損害や、上限を超えた分は、手元資金で持つことになります。

そのためにも、冷凍・冷蔵の在庫がふだんいくら分あるかを、金額でつかんでおくと考えやすくなります。なお、非常用の発電機を置く、台風の前に在庫を減らすといった手立ては、損害そのものを小さくする「軽減」で、厳密にはリスクコントロールの領域です。実務では、移転・保有・軽減を組み合わせます。

自社で書き出してみる3つの問い

  1. 冷凍・冷蔵の在庫は、ふだんと繁忙期でそれぞれいくら分ありますか。
  2. 今の保険で、停電による商品の傷みは補償されますか。補償されるなら、停電の時間・原因・上限額の条件は何ですか。
  3. 2〜3日停電したら、売れなくなった商品と休んだ分の損失を、手元資金でどこまで受け止められますか。

まとめ

台風による停電は、沖縄や離島の事業にとって「いつか来るもの」です。まず在庫の金額と保険の条件を確かめ、保険で移す分と手元資金で持つ分を分けて考える。そこから、自社に合った備えを考えてみてください。

参考資料

  • 経済産業省 産業保安グループ 電力安全課「令和5年台風第6号・7号の振り返り」(2023年12月4日)
  • AIG損害保険「温度管理貨物の電力停止等補償特別約款」パンフレット(2026年10月閲覧)

本記事は一般的な情報提供であり、個別の保険契約・税務判断・資金繰り・投資判断等を助言するものではありません。実際の判断は、自社の状況に応じて、保険会社・保険代理店・保険仲立人・税理士等の専門家にご相談ください。

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