2026年9月1日から、中央線のない一般道の「法定速度」(標識がないときの上限の速さ)が、時速60キロから30キロに下がりました。この記事では、ルール変更の中身と、社用車で事故が起きたときの「お金の備え」を確認します。

何が変わったのか

改正道路交通法施行令により、中央線や中央分離帯のない一般道の法定速度が時速30キロになりました。警察庁は、主に幅5.5メートル未満の道を想定しています。

中央線や車両通行帯(車線)がある道、柵などで上りと下りが分かれた道は、これまでどおり時速60キロです。また、標識で40キロなどと指定されている道は、その標識の速度が優先されます。

石垣島をはじめ沖縄の離島では、集落の中や畑の間に中央線のない道が多くあります。営業や配達で毎日通る道が、知らないうちに「30キロの道」になっているかもしれません。

社用車の事故で会社が負うお金

従業員が仕事中に事故を起こすと、会社も「使用者責任」(民法715条。従業員の仕事上の加害について会社も責任を負うこと)や「運行供用者責任」(自動車損害賠償保障法3条。自分のために車を運行させる者が負う責任)を問われることがあります。

強制加入の自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、事故で他人を死傷させた場合の対人賠償が対象です。支払限度額は被害者1人につき、ケガ120万円、死亡3,000万円、後遺障害は程度に応じて75万円〜4,000万円です。相手の車や建物などの物損や、自社の車の修理は対象外です。

リスクファイナンスの中心は「移転」と「保有」です。大きな賠償は任意の自動車保険へ「移転」(保険会社に肩代わりしてもらうこと)し、小さな修理代や自己負担額(免責金額)、事故後の保険料アップは手元資金で「保有」(自社で負担すること)する、という組み合わせが基本です。

なお、速度を守る指導や運転記録の確認は、事故そのものを減らす「軽減」で、厳密にはリスクコントロール(損失を起こりにくくする手立て)の領域です。実務ではこの3つを組み合わせて考えます。

自社で書き出してみましょう

  1. 社用車・従業員のマイカーが、毎日通る道のうち中央線のない道はどこですか。
  2. 今の自動車保険の対人・対物の補償額と、自己負担額(免責金額)はいくらですか。
  3. 事故が1件起きたとき、修理代と翌年以降の保険料アップを、手元資金でいくらまで負担できますか。

まとめ

ルールが変わった今は、運転の仕方と同時に、事故のときのお金の流れを見直す良い機会です。何を保険に任せ、何を自社で持つのか。補償額や自己負担額は、契約内容や会社の状況によって最適な形が変わります。まずは上の3つの問いを書き出してみてください。

参考資料

  • 兵庫県警察「令和8年9月1日から生活道路の法定速度が30km/hになります」(2026年5月28日)
  • 熊本日日新聞「生活道路の法定速度上限30キロ 事故抑止へ1日から」(2026年9月1日)※警察庁の想定(幅5.5メートル未満)を報道
  • 国土交通省「自賠責保険(共済)ポータルサイト」限度額と補償内容(2026年10月確認)
  • 民法第715条(使用者等の責任)、自動車損害賠償保障法第3条

本記事は一般的な情報提供であり、個別の保険契約・税務判断・資金繰り・投資判断等を助言するものではありません。実際の判断は、自社の状況に応じて、保険会社・保険代理店・保険仲立人・税理士等の専門家にご相談ください。

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