SNSでの炎上や、根拠のない悪い口コミ。小さな会社ほど、売上に直接響きます。この記事では、①削除を求めるしくみ、②保険で守れる範囲、③保険では守りにくい部分への備え方、の3点を整理します。

削除を求める窓口は整ってきた

2025年4月、「情報流通プラットフォーム対処法」(旧プロバイダ責任制限法を改正した法律)が施行されました。利用者の多いSNSなどの大規模事業者(総務省が指定)には、削除申出の窓口と削除の基準を公表し、申出に対して決められた期間内に対応結果を知らせることが義務づけられました。

困ったときは、総務省の支援事業「違法・有害情報相談センター」に相談できます。同センターへの相談は、令和6年度に6,403件ありました(警察庁「令和7年版 犯罪被害者白書」)。ただし、削除されても、一度離れたお客さんが戻るとは限りません。

保険で守れるのは「事故に伴う対応費用」が中心

リスクファイナンス(お金の面での備え)の中心は、①移転(保険などで他に負担してもらう)と②保有(手元資金で自分で受け止める)です。

炎上に備える補償は、サイバー保険などの中で、「事故」をきっかけにした炎上への対応費用として用意されていることがあります。たとえば、商工会会員向けのサイバー保険のパンフレット(損害保険ジャパン、2026年3月1日以降始期の契約)では、事故に関するネット上の書き込みへの対応費用、謝罪広告や会見の費用、専門家への相談費用が補償項目に挙がっています。

一方で、事故を伴わない炎上や、評判が落ちたことによる売上の減少は、補償の対象外とされている場合があります。どこまで補償されるかは、商品と契約内容(約款)ごとに違います。

保険は「対応にかかる費用」、手元資金は「客足が戻るまでの時間」。そう分けて考えると、整理しやすくなります。

なお、SNSの運用ルールづくりや従業員研修は、炎上を起こりにくくする「軽減」です。厳密にはリスクコントロール(損失そのものを減らす工夫)の領域ですが、実務では移転・保有と組み合わせて備えます。

観光客の多い石垣島や沖縄では、口コミサイトの評価が予約に直結します。島の外の人の書き込みでも、島のお店の売上が動く。離島だからこそ、意識しておきたいリスクです。

自社で書き出してみる3つの問い

  1. 今の保険(サイバー保険・賠償責任保険など)に、炎上や謝罪広告の対応費用は含まれていますか。どんな「事故」が条件ですか。
  2. 売上が3か月2割落ちたら、手元資金で何か月持ちこたえられますか。
  3. 炎上が起きたとき、最初に誰が、どこに相談するか決まっていますか。

まとめ

削除を求める窓口は整ってきました。それでも、保険で守れるのは主に「事故に伴う対応費用」です。評判が戻るまでの売上減は、手元資金で受け止める部分が残ります。まずは今の保険の補償範囲を確かめるところから始めてみてください。

参考資料

  • 総務省「インターネット上の違法・有害情報に対する対応(情報流通プラットフォーム対処法)」
  • 総務省「大規模特定電気通信役務提供者の義務に関するガイドライン」(2025年3月11日制定)
  • 警察庁「令和7年版 犯罪被害者白書」トピックス「インターネット上の誹謗中傷等に関する取組の充実」
  • 全国商工会連合会「情報セキュリティサポート保険(サイバー保険)」パンフレット(引受保険会社:損害保険ジャパン、2026年3月1日以降始期契約用)

本記事は一般的な情報提供であり、個別の保険契約・税務判断・資金繰り・投資判断等を助言するものではありません。実際の判断は、自社の状況に応じて、保険会社・保険代理店・保険仲立人・税理士等の専門家にご相談ください。書き込みの削除や法的対応については、弁護士等にご相談ください。

自社の保険で炎上対応がどこまでカバーされているか確かめたい方は、リスクファイナンス研究所の初回相談をご利用ください。