台風や火事への備えはしていても、機械そのものの電気的・機械的な事故は、契約によって補償から抜けることがあります。火災保険と機械保険は、補償する事故の範囲が違い、重なる部分もあります。この記事では、その線引きと、修理の間に止まる損失の受け止め方を整理します。

どちらで補償されるかは、契約で変わる

リスクファイナンス(リスクへの財務的な備え)の中心は2つです。1つは「移転」。保険などで損失を他社に引き受けてもらいます。もう1つは「保有」。自社の手元資金で受け止めます。なお、点検や予備部品の確保のように故障を起きにくくする取り組みは、厳密にはリスクコントロールの領域です。実務ではこの3つを組み合わせます。

機械保険は、ショートや過電流などの電気的な事故、回転する機械の破壊、操作ミスや保守点検不良、設計や材質の欠陥による損害などを対象とします。一方で、火災、地震、津波、風災、水災、盗難は対象外とされています(東京海上日動の説明による。範囲は保険会社や契約で異なります)。

火災保険は、火事や落雷、風水災などを補償するのが一般的です。ただし、契約するプランによっては電気的・機械的事故まで補償するものもあります。一方、機械保険は機械設備そのものに生じた事故を幅広く対象とし、落雷による損害も含みます。どちらで補償されるかは、事故の原因と契約内容の両方を見ないと決まりません。

「広いプランにしたから大丈夫」とは限らない

では、火災保険の側を手厚くすれば足りるのでしょうか。ここは商品によります。補償の対象が「建物または屋外設備装置に付属するもの」に限られている例があるからです。空調設備、変圧器、エレベーターなどです。

この形だと、工場の生産設備そのものは含まれません。自社の機械がどこまで守られているかは、保険証券と約款(契約のルールを書いた書面)を見ないと分かりません。

「直す費用」と「止まる損失」は別もの

機械保険で受け止められるのは、基本的に修理などの費用です。直るまで売上が止まる分は、別の手当てが要ります。休業に備える補償を付けるか、手元資金(保有)で受け止めるか、です。

石垣島のような離島では、ここが重くなりやすいと感じます。部品の取り寄せや技術者の来島に時間がかかると、止まる期間が延びやすいからです。

2026年版ものづくり白書によると、設備投資額は2021年以降は増加傾向で推移しています。設備にお金をかけている会社ほど、止まったときの影響も大きくなります。

自社で書き出してみる

  1. いま止まったら困る設備を、上から3つ挙げてください。
  2. その設備は、火災保険と機械保険のどちらで、どこまで守られていますか。
  3. 修理に1か月かかったとして、その間の資金はどこから出しますか。

まとめ

保険は「入っているかどうか」より、「どの事故を、どこまで」で決まります。まず設備を挙げる。次に証券を見る。この順番なら、足りないところは見えてきます。どこまで保険に移し、どこから自社のお金で持つか。線引きは会社ごとに違います。

参考資料

  • 東京海上日動火災保険「機械保険 補償内容」(2026年9月閲覧)
  • 東京海上日動火災保険「超ビジネス保険 電気的・機械的事故の補償の対象となる物」(2026年9月閲覧)
  • 東京海上日動火災保険「企業総合保険(財産補償条項) 損害保険金のお支払対象となる事故」(2026年9月閲覧)
  • 経済産業省・厚生労働省・文部科学省「2026年版ものづくり白書(概要)」2026年5月

本記事は一般的な情報提供であり、個別の保険契約・税務判断・資金繰り・投資判断等を助言するものではありません。実際の判断は、自社の状況に応じて、保険会社・保険代理店・保険仲立人・税理士等の専門家にご相談ください。補償の範囲や免責事項は商品・契約ごとに異なりますので、必ずご自身の保険証券・約款をご確認ください。

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