太陽光発電所や資材置き場から、銅線などの金属が盗まれる事件が続いています。2026年6月には、これを防ぐための法律が全面施行されました。この記事では、盗まれたときのお金の損を「保険で移す部分」と「自社で持つ部分」に分けて考える手順をまとめます。

金属盗は減ったが、まだ年1万5千件超

警察庁によると、金属盗の認知件数(警察が把握した件数)は、2024年に20,701件でした。2025年は15,712件で、前年より24.1%減っています。減った主な理由は、太陽光発電施設のケーブル盗難が減ったことと分析されています。

とはいえ、年1万5千件を超える水準です。2025年6月には「金属盗対策法」(盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律)が成立・公布されました。2025年9月1日からは、ケーブルカッターなどを正当な理由なく隠して持ち歩くことが禁止されています。2026年6月1日からは、銅くずなどを買い取る業者に届出などが義務づけられました。

ただ、法律は「盗みにくく、売りにくくする」ためのものです。被害にあった会社の損を埋めてくれるわけではありません。

盗まれたときの損は、3つに分けて考える

盗難の損は「盗まれた物の代金」だけではありません。①物を買い直す費用、②工事や修理の費用、③直るまでの売上の減少(太陽光なら売電収入の減少)の3つがあります。

このうち、保険に入って損を保険会社に移す考え方を「移転」、自社のお金で受け止める考え方を「保有」といいます。どちらもリスクファイナンス(リスクへのお金の備え)の中心です。一方、フェンスや防犯カメラで盗まれにくくすることは「軽減」で、厳密にはリスクコントロール(損を起こしにくくする対策)の領域です。実務では、この3つを組み合わせます。

注意したいのは、保険の契約によって補償の範囲が大きく違う点です。屋外の設備や資材が盗難補償の対象外だったり、自己負担額(免責金額)が決まっていたりすることがあります。③の売上の減少は、別の特約や保険でないと出ないこともあります。

石垣島などの離島では、部品や工事の手配に時間がかかりがちです。復旧まで長くなる分、③の「止まっている間の損」と、それを支える手元資金も見ておきたいところです。

自社で書き出してみたい3つの問い

  1. 屋外や無人の場所に、銅線・ケーブル・金属資材など盗まれやすい物はありますか。それぞれ買い直すといくらかかりますか。
  2. 今の保険証券で、その場所の「盗難」は補償されていますか。自己負担額はいくらですか。止まっている間の売上減少は対象ですか。
  3. 保険で出ない部分(自己負担額や復旧までの期間の損)を、手元資金で何か月分受け止められますか。

まとめ

金属盗は減りつつありますが、なくなったわけではありません。法律は盗難を防ぐ後押しになりますが、損の穴埋めは自社で考える必要があります。「保険で移す部分」「手元資金で持つ部分」「対策で減らす部分」を、一度書き分けてみてください。

参考資料

  • 警察庁「令和7年の犯罪情勢」(2026年2月)
  • 警察庁「金属盗対策」(金属盗対策法の概要・施行日)
  • 大阪府警察「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律(金属盗対策法)の概要について」(令和6年の認知件数20,701件)

本記事は一般的な情報提供であり、個別の保険契約・税務判断・資金繰り・投資判断等を助言するものではありません。実際の判断は、自社の状況に応じて、保険会社・保険代理店・保険仲立人・税理士等の専門家にご相談ください。

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