2026年6月、保険業法が変わりました 中小企業の「保険の選び方」への影響
この記事で分かることを、先にお伝えします。2026年6月1日に、保険業法(保険の売り方や保険会社のルールを定めた法律)が改正されて施行されました。この記事では、何が変わったのかをやさしく整理し、中小企業が保険を見直すときに持ちたい視点をお伝えします。
2026年6月、何が変わったのか
今回の改正は、2025年6月6日に公布され、2026年6月1日に施行されました(金融庁)。国が示した大きな柱は、次の3つです。
1つ目は、複数の保険会社の商品を扱う、一定規模以上の代理店への義務の強化です。こうした大きな代理店(「特定大規模乗合保険募集人」と呼ばれます)には、ルールを守るための責任者を置くことや、苦情にきちんと対応する体制などが、新たに求められるようになりました。そのうち、一定規模以上の損害保険代理店が自動車修理業などを兼ねている場合には、その兼業の仕事が保険金の支払いなどに不当な影響を与えないための管理も求められます。
2つ目は、「過度な便宜供与(べんぎきょうよ=取引の見返りに、特別なサービスや利益を渡すこと)」への規制の強化です。これまでも、保険料を不当に割り引いたり、特別な利益を渡したりすることは禁止されていました。今回の改正では、その対象が、契約者と深いつながりのある会社などにも広がりました。さらに、常識に照らして行き過ぎた物品の購入やサービスの提供なども、禁止の対象に加わりました。保険をめぐる不自然な取引で、競争がゆがむのを防ぐねらいです。
3つ目は、保険会社の側の管理も強められた点です。大きな代理店に保険の販売を任せる場合や、自動車修理業などを兼ねる代理店を通じて保険を扱う場合に、お客さまの利益が不当に害されないよう、保険会社にも管理体制を整えることが求められます。これらに共通するねらいは、「お客さま本位(お客さまの利益を第一に考えること)」の徹底と、健全な競争環境づくりです。
中小企業の「保険の選び方」への影響
経営者の立場で大切なのは、次の一点です。保険は「おまけ」ではなく、「補償の中身」と「保険料」で選ぶ、ということです。
保険は、リスクファイナンスでいう「移転」(自社では抱えきれない損失を、保険会社に肩代わりしてもらう備え)の中心です。ちなみに、手元資金でそなえる「保有」と組み合わせて考えるのが基本です。おまけの魅力で決めてしまうと、いざというときの補償が自社に合わない、という事態になりかねません。今回の改正は、その選び方を見直すよいきっかけになります。
体制を整える負担は、規模の大きい代理店ほど重くなります。地方や離島でも、こうした流れのなかで、これまでの相談窓口が変わることがあるかもしれません。補償の内容を自分の言葉で説明できる相手を、日頃から持っておくと安心です。
自社で考えてみましょう
- いま入っている保険を、「補償の中身」で説明できますか。おまけやおつき合いで選んでいませんか。
- 自社にとって「保険会社に肩代わりしてほしい損失」は何か、書き出せますか。
- もし保険の相談窓口が変わったとき、代わりに相談できる相手はいますか。
まとめ
2026年6月の改正で、保険の売り方のルールが整えられました。経営者にできるのは、法律の中身を覚えることより、「補償の中身で選ぶ」という軸を持つことです。この機会に、自社の保険を一度見直してみてください。
参考資料
・金融庁「保険業法の一部を改正する法律案 説明資料」
・金融庁「令和7年保険業法改正に係る内閣府令等の公布及びパブリックコメント結果」(令和8年3月30日公布、令和8年6月1日施行)
本記事は一般的な情報提供であり、個別の保険契約・税務判断・資金繰り・投資判断等を助言するものではありません。実際の判断は、自社の状況に応じて、保険会社・保険代理店・保険仲立人・税理士等の専門家にご相談ください。
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