週10時間以上のパートも雇用保険へ ― 2028年10月の適用拡大で、中小企業の法定福利費(人を雇うとかかる費用)はどう増えるか
2028年10月、雇用保険の「入り口」が広がります。これまで対象外だった、週10時間以上の短い時間で働く人も、雇用保険の対象になります。この記事では、何が変わるのか、会社の負担(法定福利費)はどう増えるのか、そして、いまからできる準備を、やさしく整理します。
2028年10月、何が変わるか
いまの雇用保険は、週の所定労働時間(あらかじめ決めた働く時間)が「20時間以上」で、かつ「31日以上の雇用の見込み」がある人が対象です。この「20時間以上」が、2028年10月1日から「10時間以上」に下がります。これは改正雇用保険法として、すでに成立している内容です。
ただし、週10時間以上なら誰でも自動的に入るわけではありません。「31日以上の雇用の見込み」という条件は残ります。昼間の学生など、対象外になる人もいます。それでも、対象が広がることで、新たに約500万人が雇用保険に入る見込みです(厚生労働省)。とくに、パートやアルバイトを多く雇う会社ほど、影響は大きくなります。
会社の負担と、働く人のセーフティネット
雇用保険料は、会社と働く人が分けて負担します。2026年度(令和8年度)の一般の事業では、会社の負担は賃金の0.85%です(1,000円あたり8.5円。働く人の負担は0.5%)。この料率は毎年見直されます。
雇用保険料は、賃金に一定の率をかけて計算します。だから、対象になる人が増えたり、賃金が上がったりすると、会社が払う保険料も増えます。決算書では「法定福利費」(人を雇うことでかかる費用)にあたります。ここで大事なのは、これが保険で「移す」話ではない、ということです。増える負担を、これからの利益計画や資金繰りにあらかじめ織り込んでおく。そういう、備えの発想が要ります。
一方で、働く人にとっては、公的な保険が広がります。失業したときの給付や、育児・介護で休むときの給付を、受けやすくなります。会社から見れば、「雇用保険に入れます」と言えることが、人を採るときの安心材料になる、という見方もできます。
石垣島や沖縄の小さな会社は、短い時間で働くパートの方に支えられている職場が多いはずです。だからこそ、「対象になりそうな人が何人いるか」を、いまのうちに数えておくと、あわてずにすみます。
自社で書き出してみる
- 週10時間以上・20時間未満で働く人は、いま何人いますか。
- その人数が対象に加わると、会社が払う雇用保険料は、年間いくら増えそうですか。
- 2028年に向けて、給与計算や勤怠(きんたい)管理のしくみは、対応できそうですか。
まとめ
2028年10月、雇用保険は「週10時間以上」に広がります。会社にとっては、人を雇うことでかかる負担がじわりと増える話。働く人にとっては、安心のしくみが広がる話です。数字が大きく動くのは先のことでも、準備は早いほど楽になります。まずは、自社で対象になりそうな人数を、そっと数えるところから始めてみてください。
参考資料
・厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)」および関連の適用拡大の資料
・厚生労働省「令和8(2026)年度の雇用保険料率について」
※雇用保険料率は年度ごとに見直されます。本文の料率は令和8(2026)年度・一般の事業の値です。実際の負担は、事業の種類や年度によって変わります。
本記事は一般的な情報提供であり、個別の保険契約・税務判断・資金繰り・投資判断等を助言するものではありません。実際の判断は、自社の状況に応じて、保険会社・保険代理店・保険仲立人・税理士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
当研究所では、こうした制度改正が自社のコストや資金繰りにどう響くかを、いっしょに整理する初回相談を承っています。お気軽にお問い合わせください。