2026年1月1日、これまでの「下請法」が「中小受託取引適正化法(取適法/とりてきほう)」に変わりました。仕事を受ける側の中小企業を守るための見直しです。この記事では、何が変わったのか、そして会社のお金の流れ(資金繰り)にどう関わるのかを、やさしく整理します。

取適法で、何が変わったのか

大きな柱は3つです。

1つ目は、支払い方法の見直しです。これまで禁止されていたのは、サイト(手形を受け取ってから現金にできるまでの期間)が60日を超える手形でした。改正後は、取適法の対象取引について、2026年1月1日以降に発注する分から、手形による支払いが禁止されます。電子記録債権やファクタリングなども一律に禁止されるわけではありませんが、支払期日までに手数料などを含む満額を現金で受け取ることが難しいものは認められません。振込手数料を受注側に負担させることも禁止です。

2つ目は、協議に応じない一方的な代金決定の禁止です。原材料費や人件費の上昇など、価格に影響する事情が生じ、受注側が価格の話し合いを求めたにもかかわらず、発注側が協議に応じなかったり、必要な説明をせずに一方的に価格を決めたりする行為が禁止されました。物価高のなかで、適切な価格転嫁(コスト上昇分を売値に反映すること)を進める狙いがあります。

3つ目は、対象の広がりです。これまでの資本金の基準に加えて、従業員数による基準が新しく加わりました。取引の種類によって300人または100人という基準があり、発注する側と受注する側の従業員規模の関係で判定します。情報やサービスの委託でも取引内容によって基準が変わるため、自社が対象になるかは公正取引委員会の区分で確かめるのが確実です。資本金では対象外だった取引も、新たに対象となる場合があります。

リスクファイナンスの視点で見ると

取適法は、受注側の会社にとって追い風です。手形が現金払いに変われば、入金が早まり、資金繰りが楽になります。ただし、これは取引のルールを整える仕組みです。リスクファイナンス(リスクへのお金の備え)でいえば、リスクそのものを減らす「軽減(リスクコントロール)」に近い後押しにあたります。

制度で入金が早まっても、取引先の遅れや倒産といった不測の事態に耐える力は、最終的に自社の手元資金という備え(保有)の厚みが効いてきます。

リスクファイナンスの中心は、保険などでリスクを外に移す「移転」と、手元資金で自分で受け止める「保有」の2つです。取引ルールの改善は、これらを置きかえるものではありません。3つは組み合わせて考えるものだと押さえておくと、判断がぶれません。

もう一つ大切な視点があります。あなたの会社が「発注する側」でもある場合です。取適法の対象取引で手形を使っていたなら、2026年1月1日以降の発注分については、現金振込など適法な支払い方法へ見直す必要が出てきます。石垣島など離島では、取引条件や資金の出入りを早めに確認しておくと安心です。

自社で書き出してみる

  1. 自社が受け取っている代金に、手形や、すぐ満額にならない支払いは残っていないか。
  2. コスト上昇分の価格転嫁について、取引先ときちんと話し合えているか。
  3. 自社が発注する側のとき、2026年1月以降の支払い方法は見直せているか。

まとめ

取適法は、受注側の資金繰りを助ける追い風です。一方で、備えの土台はやはり手元資金です。制度の変化を入り口に、自社の入金と支払いの流れを一度点検してみてください。

参考資料

  • 中小企業庁 ミラサポplus「【2026年1月1日施行】受注者を守る法!手形払い禁止など『取適法』がもたらす変化」(2025年11月18日、最終更新2026年4月16日)
  • 公正取引委員会「2026年1月から下請法が『取適法』に!」リーフレット
  • 政府広報オンライン「2026年1月から下請法が『取適法』に!委託取引のルールが大きく変わります」(2025年11月)

本記事は一般的な情報提供であり、個別の保険契約・税務判断・資金繰り・投資判断等を助言するものではありません。実際の判断は、自社の状況に応じて、保険会社・保険代理店・保険仲立人・税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。

当研究所では、初回のご相談を承っています。自社の資金繰りや取引条件の点検を、リスクファイナンスの視点で一緒に整理したい方は、お気軽にお声がけください。