この記事では、お店や会社が「第三者への賠償」を求められる場面と、その備え方をやさしく整理します。台風や火事のような「モノが壊れる」損害とは別の話です。人にケガをさせたり、売った商品で事故が起きたりしたときのリスクを扱います。観光と食の島・石垣でも、飲食店やお土産づくりに関わる方には身近なテーマです。

「うちは関係ない」と言い切れますか

賠償リスクとは、仕事の中で第三者(お客様や取引先)にケガをさせたり、物を壊したりして、損害賠償を求められることです。日本損害保険協会は、こんな例を挙げています。店内に積まれた商品が倒れて来店客が骨折し、治療費や慰謝料などで100万円以上を支払った例。売った弁当が原因で食中毒が起き、被害者は約50名、訴訟にもなって700万円を超えた例です。いずれも同協会が示す一般的な例で、実際の金額は状況によって変わります。

製品の事故も他人事ではありません。NITE(製品評価技術基盤機構)には、毎年1千件以上の製品事故情報が寄せられています。2024年度の報告では、モバイルバッテリーなどリチウムイオン電池を積んだ製品の事故が目立ちました。

賠償リスクは「移す」ことができる

リスクファイナンス(リスクへの財務的な備え)の中心は二つあります。①移転(保険などで外に移す)と、②保有(手元資金でしのぐ)です。賠償は金額が大きくなりがちで、自社の貯えだけでは受け止めにくい。だから、外に移す「移転」、つまり保険が向いています。

代表的な保険は二つです。施設賠償責任保険は、店や設備の不備、仕事のミスで他人にケガや損害を与えたときに備えます。生産物賠償責任保険(PL保険)は、売った商品や、提供した料理・工事の結果が原因で事故が起きたときに備えます。

とくに製品には、製造物責任法(PL法、1995年施行)があります。対象になるのは、製品を作った・加工した・輸入した事業者などです。被害者は、その事業者の「不注意(過失)」を証明しなくても、製品の「欠陥」と、その欠陥によって人の生命・身体または欠陥製品以外の財産に損害が生じたこと、そして両者のつながり(因果関係)を示せば、損害賠償を請求できます(消費者庁)。なお、欠陥製品そのものだけが壊れた場合は、PL法の対象ではありません。「気をつけていた」というだけでは、責任を免れにくいということです。また、仕入れて売るだけの販売業者は、原則としてPL法の対象ではありません。

衛生管理や表示の点検で、事故そのものを減らす工夫は「リスクの軽減(リスクコントロール)」にあたります。保険(移転)と、日ごろの管理(軽減)は、どちらか一方ではなく、組み合わせるのが基本です。

自社で書き出してみる3つの問い

  1. お客様が店内や作業現場でケガをする場面は、どこにありそうか。
  2. 自社が売る・作る・提供するもので、他人に被害が及ぶとしたら何か。
  3. もし数百万円の賠償を求められたら、いまの手元資金で払えるか。移すべきか。

まとめ

賠償リスクは、「起きるかどうか」よりも「起きたら金額が読めない」ことが怖いところです。だからこそ、手元資金(保有)で抱えるのか、保険(移転)で外に移すのかを、先に決めておく。答えは会社ごとに違います。まずは、自社の事故の芽を書き出すところから始めてみてください。

参考資料

  • 日本損害保険協会「企業のための保険ナビ ― 賠償責任のリスク」
  • 製品評価技術基盤機構(NITE)「2024年度 事故情報解析報告書」(2025年10月公表)
  • 消費者庁「製造物責任法の概要Q&A」

本記事は一般的な情報提供であり、個別の保険契約・税務判断・資金繰り・投資判断等を助言するものではありません。実際の判断は、自社の状況に応じて、保険会社・保険代理店・保険仲立人・税理士等の専門家にご相談ください。

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