会社が金融機関から借入れをするとき、社長個人が連帯保証人になることがあります。これが「経営者保証」です。この記事では、いま国が後押しする「保証に頼らない融資」の流れと、社長個人のリスクを会社から切り離すための足場を、短くお伝えします。

経営者保証とは「社長個人が背負う会社の借金」

経営者保証(社長個人が会社の借入れの連帯保証人になる仕組み)がついていると、会社が返せなくなったとき、社長個人が返済を求められます。その結果、預金や自宅など、個人の財産に影響が及ぶ可能性があります。

ただし、経営者保証と、自宅などを担保に入れる契約(抵当権など)は別のものです。保証を外しても、別に設定された担保が自動で外れるわけではありません。

リスクファイナンスの言葉でいうと、これは会社の返済リスクが社長個人にまで及びうる状態です。もし会社が傾けば、家計まで一緒に傾きかねません。

国は「保証に頼らない融資」を後押ししている

2022年12月、金融庁・経済産業省・財務省が「経営者保証改革プログラム」をまとめました。保証に依存しない融資を広げるための取り組みです。

効果は数字にも表れています。民間金融機関の新規融資のうち、経営者保証に依存しない融資の割合は、2024年度の上半期(4〜9月)に初めて5割を超えました(金融庁調べ)。なお、この割合には、完全に無保証の融資だけでなく、保証に代わる手法を使った融資も含まれます。

さらに2024年3月には、法人の中小企業者が一定の要件(決算書の提出、代表者への貸付金がないことなど)を満たす場合に、信用保証料率を0.25%または0.45%上乗せすることで、経営者保証を提供しない信用保証付融資を選べる制度も始まりました(中小企業庁)。ただし、既存の保証をすべて自動で外せる制度ではない点には注意が必要です。

外すための3つの目安

「経営者保証に関するガイドライン」は、日本商工会議所と全国銀行協会が事務局を務める研究会が策定した、事業者・経営者・金融機関に共通の自主ルールです。国もその活用を後押ししています。保証を求めない、または既存の保証を見直すときの主な目安として、次の3点が示されています。

①法人と経営者の資産・経理が明確に分けられている(会社と個人の財布を分ける)/②法人の資産や収益力だけで返済できる財務基盤がある/③金融機関へ財務情報を適時適切に開示している(試算表や決算をタイムリーに渡す)

これはリスクファイナンスの発想にも通じます。経営者保証を外すことは、会社の返済リスクが社長個人の財産にまで波及する「経路」を断つ取り組みです。会社としては、財務基盤を強くし情報を開示してリスクを「軽減」(減らすこと。厳密にはリスクコントロールの領域)し、それでも残る返済リスクには手元資金で「保有」(自分で備えること)を組み合わせる、と整理すると分かりやすいでしょう。ただし、保証を外せるかどうかは会社の状況しだいで、必ず外れるわけではありません。

石垣島のような離島では、こうした制度について相談したり、情報に触れたりする機会が限られることもあります。知らないだけで、選べるはずの道を選べていないこともあります。

自社で書き出してみる

  1. いまの借入れに、経営者保証はついていますか。ついているなら、金額はいくらですか。
  2. 会社と社長個人の財布は、はっきり分かれていますか。
  3. 決算書や試算表を、金融機関にタイムリーに渡せていますか。

まとめ

経営者保証は、もう「外せない前提」ではなくなってきました。まず自社の保証の有無を確かめ、3つの目安に少しずつ近づける。それが、会社と家計を切り離す第一歩になります。

参考資料

・金融庁「『経営者保証改革プログラム』の策定について」(2022年12月)
・金融庁「『経営者保証に関するガイドライン』等の活用実績について」(2025年度の実績、2026年6月)
・中小企業庁「保証料率の上乗せにより経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度等を開始します」(2024年3月)
・日本商工会議所・全国銀行協会「経営者保証に関するガイドライン」

本記事は一般的な情報提供であり、個別の保険契約・税務判断・資金繰り・投資判断等を助言するものではありません。実際の判断は、自社の状況に応じて、取引金融機関・信用保証協会・保険会社・保険代理店・保険仲立人・税理士等の専門家にご相談ください。

経営者保証の見直しや、会社と家計のリスクの切り分けについて気になる点があれば、初回のご相談は無料でお受けしています。お気軽にお声がけください。