会社のお金を、いつも使っている銀行に預けている。多くの経営者にとって当たり前のことです。でも、もしその金融機関が破綻したら、会社の預金はどこまで戻ってくるのでしょうか。この記事では、「ペイオフ(万一のときに預金が保護される仕組み)」の基本と、全額守られる預金の種類、そして手元資金の置き場所を点検するヒントを、短くお伝えします。

預金は「1,000万円まで」が原則

日本には「預金保険制度」という仕組みがあります。金融機関が破綻したときに、預金者を守るためのものです。保険料は金融機関が払っていて、会社が別に加入する必要はありません。自動で適用されます。

守られる範囲には決まりがあります。利息のつく普通預金や定期預金など(「一般預金等」と呼びます)は、1つの金融機関ごとに、預金者1人あたり「元本1,000万円までと、その利息」までが保護されます。会社(法人)も、1人の預金者として数えます。

1,000万円を超えた部分は、どうなるのでしょうか。破綻した金融機関の財産の状況に応じて払い戻されます。つまり、一部が戻ってこないこともあります。また、外貨預金や譲渡性預金などは、そもそも保護の対象外です。

全額守られる「決済用預金」という選択肢

実は、金額の上限なく全額が守られる預金もあります。「決済用預金」と呼ばれるものです。次の3つをすべて満たす預金が当てはまります。

①利息がつかない ②いつでも引き出せる ③決済(振込や引き落とし)に使える

当座預金や、無利息型の普通預金などがこれに当たります。利息がつかない代わりに、破綻しても全額が守られる。多額の資金を一時的に置いておく口座として、知っておく価値があります。ただし利息がつかない点や、金融機関ごとの取り扱いは、事前に窓口で確認してください。

倒産が増える今こそ、置き場所の点検を

2025年度(2025年4月〜2026年3月)の全国の企業倒産は1万505件で、前年度より3.5%増えました。1万件を超えるのは2年連続です(東京商工リサーチ調べ)。物価高や人件費、金利負担が、中小企業の資金繰りに重くのしかかっています。

リスクへの財務的な備え(リスクファイナンス)の柱は、大きく分けて2つあります。保険などで負担を他者に移す「移転」と、手元資金で備える「保有」です。今日の話は「保有」、つまり手元資金そのものを守る話です。せっかく貯めた資金も、置き場所を誤ると守られる額が変わります。

石垣島や沖縄の離島では、地域の信用金庫や地方銀行との付き合いが深く、1つの金融機関に資金が集中しがちです。悪いことではありませんが、金額が大きくなってきたら、複数の金融機関に分ける、決済用預金を活用するといった点検をしておくと安心です。

自社で書き出してみましょう

  1. 会社の預金は、どの金融機関に、いくらずつ置いていますか。同じ金融機関にある一般預金等を合計して、元本1,000万円を大きく超えていませんか。
  2. その預金は「一般預金等」ですか、それとも全額守られる「決済用預金」ですか。外貨預金など対象外のものはありますか。
  3. 万一に備えて、資金を分ける・預金の種類を見直す余地はありますか。

まとめ

定期預金や利息のつく普通預金などの一般預金等は、1金融機関あたり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が守られ、決済用預金は全額が守られます。会社のお金は、稼ぐことと同じくらい、守り方も大切です。答えを急ぐより、まず自社の預金の置き場所を書き出すことから始めてみてください。

参考資料
・預金保険機構「保護の範囲」「保護される預金等の範囲」
・金融庁「預金保険制度(ペイオフ)」
・東京商工リサーチ「2025年度(令和7年度)の全国企業倒産1万505件」

本記事は一般的な情報提供であり、個別の保険契約・税務判断・資金繰り・投資判断等を助言するものではありません。実際の判断は、自社の状況に応じて、保険会社・保険代理店・保険仲立人・税理士・取引金融機関等の専門家にご相談ください。

当研究所では、初回のご相談を承っています。手元資金の守り方やリスクへの備えについて、お気軽にお問い合わせください。