台風で店が被害を受けたら?──休業損失に備える利益保険
台風や火事でお店や工場が被害を受けたとき、建物や機械の損害は、契約内容に応じて火災保険などで補償されることがあります。でも「直している間、お店を開けられない損失」には、別の備えが必要です。この記事では、休んでいる間の売上減や固定費に備える考え方を、やさしく整理します。石垣島など台風の多い地域では、とくに身近な話です。
モノは直っても、休んでいる間の損失は残る
火災保険(建物や機械の損害を補う保険)は、契約で決めた事故で受けた損害について、こわれたモノを直すお金を出してくれます。ただ、直るまでの間はお店を開けられません。その間も、家賃・人件費・リース料といった固定費(売上があってもなくてもかかる費用)は出ていきます。売上は止まるのに、支払いは続く。ここが見落とされがちです。
この「休んでいる間の損失」を補うのが、利益保険や休業損失の補償です。火災保険の特約(オプション)や、企業向けの利益保険として用意されていることが多いです。モノの補償とは別枠のことが多いので、契約内容の確認が欠かせません。
沖縄地方に近づく台風は、平年で8月に2.2個、9月に1.9個(気象庁の平年値、1991〜2020年の平均)。数日の休業は、離島では珍しくありません。
休業損失に備える3つの引き出し
リスクへの財務的な備え(リスクファイナンス)の中心は、①保険に移す「移転」と、②自社のお金で持つ「保有」の2つです。これに、被害そのものを小さくする③「軽減」(防災など。正しくはリスクコントロールという別の分野)を組み合わせます。
- ①移転(保険)…利益保険や休業損失の補償で、休んでいる間の粗利益や固定費を、一定期間おぎなう。
- ②保有(手元資金)…すぐ動かせる現金。保険で埋まらない部分や、保険金が入るまでのつなぎに使う。
- ③軽減(防災・BCP)…設備の固定や事業継続計画(BCP=止まっても早く立ち直る計画)で、そもそもの休業を短くする。
ただ、事業継続計画(BCP)を作っている中小企業は17.1%にとどまります(帝国データバンク、2025年6月発表)。むずかしく考えず、まず1枚の手順書からで十分です。
利益保険の補償額は、商品によっては、あらかじめ決めた補うわりあい(約定填補率)や、復旧にかかる期間などをもとに決まります。補う対象になる災害の範囲(火災・風災・水災など)は契約によって異なり、地震は対象外や別の取り扱いになることもあります。金額や条件は、自社の売上と固定費に合わせて設計します。
まずは自社で書き出してみる
答えは人から教わるより、自分で数字にすると見えてきます。次の3つを紙に書き出してみてください。
- 今、1週間お店や工場が止まったら、その間に出ていく固定費(家賃・人件費など)はいくらですか。
- その支払いを、手元の現金で何か月まかなえますか。
- 今の火災保険に、休業損失の補償(利益保険や特約)は付いていますか。
まとめ:モノの補償に、休業の備えを足す
火災保険は、契約で補償される事故によるモノの損害に備える保険です。そこに「休んでいる間の損失」への備えを足すことで、事業を続けるための備えがより厚くなります。保険(移転)と手元資金(保有)を軸に、防災やBCP(軽減)を組み合わせる。台風の多い島だからこそ、平時に一度、契約と手元資金を見直しておきたいところです。
参考資料
- 帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2025年)」2025年6月20日
- 気象庁「台風の平年値/沖縄地方への台風接近数」(平年値は1991〜2020年の平均)
- 日本損害保険協会「損害保険Q&A(すまいの保険・火災保険)」
本記事は一般的な情報提供であり、個別の保険契約・税務判断・資金繰り・投資判断等を助言するものではありません。実際の判断は、自社の状況に応じて、保険会社・保険代理店・保険仲立人・税理士等の専門家にご相談ください。
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